「行くよ蒼空ちゃん、心の準備はできた?」


「っ、はい…」



手を繋いだまま歩き出すと、蒼空もゆっくりついてくる。




蒼空を好きだと気付いたのは、もう随分前の事だ。


「転ばないようにな」



そう笑い掛ければ蒼空はぎこちなく頷く。極度に緊張してるみたいで、その肩はふるふると小刻みに震えている。




女の子らしくて、すげぇ可愛い。今すぐ抱き締めたいくらいだ。



「あの……」


消えちまいそうなか細い声が闇に消えていく前に、俺はしっかりと耳に入れた。




「どした?」


「………もう少し、近付いてもいいですか…?」



「っ、」




少し眉を下げながら俺を見上げる蒼空。



心臓もたねー…って。




「あ、うん。…おいで」


繋いでた手を離し、蒼空の肩に回す。グイ、と引き寄せると蒼空は遠慮がちに俺のシャツを掴んだ。




このまま時が止まればいいのに。って、本気で思った。