「それは―――」


「僕がそう頼んだんだよ。遥登って呼んでって」



あたしを遮って、遥登君が前に出る。




そう、そうなのだ。

さっき海で遊んでいた時、いきなり遥登君に下の名前で呼んでって言われた。



流石に呼び捨てで呼ぶのは抵抗があったから、あたしは遥登君って呼ぶ事にした。



そしたら遥登君は

「じゃあ僕、蒼空って呼ぶー!」






「……てわけ。分かった?」


遥登君が包み隠さず言っても、みんなの表情は緩まない。




もしかして、あたしが馴れ馴れしく遥登君なんて呼んだから―――?


だからみんなあたしを睨んでるんだ…。





「あの、あたし…」


「焼きもち妬くのは勝手だけど、蒼空に非はないから責めないでね。中村君に戻せなんて言わないよーに」




え?焼きもち??



「別に責めるつもりなんかねぇよ。ただ…むかついただけ」


ばつ悪そうな顔をして、橘君があたしを見る。と、同時にフッと口元を緩ませた。