「安心しろって。もう何もしねぇよ……今はな」



全然安心できないんですが。


「あの…っ、何で」




どうして八木原君はあたしなんかにキスしたんだろう…。




「蒼空が生意気な事言ったから」





「え、!?」


あたしのせい!!?




「冗談だよ。…ほら、早く行こうぜ」



フッと笑って、八木原君があたしの手を引く。途端に、掴まれた手首が熱を持つ。





「みんながお前の事待ってるから仕方ないけど。……あんまり俺から離れるなよ?」



一度手を離してから、今度は手を繋ぐように指を絡めてくる。ぎゅっと握ってくる力強い八木原君の手を、あたしも軽く握り返した。




「行くぞ、蒼空」


「っ、」




ぐい、と引っ張られてあたしは足を進める。頼もしい八木原君の背中を見て、ほとんど無意識に思った。










―――やっぱり、好き…。