「…っ、んん」


突然の事に頭がついていかない。




荒々しくも優しい彼の体温に酔いしれてると、胸元が涼しくなる。


微かにファスナーが下げられる音が聞こえて、ハッと我に返る。




「んんっ…!」


両手で八木原君の肩を掴み、思い切り押す。が、キスのせいで力が入らない。




完全に唇が離れた時、あたしのパーカーも完全に脱がされていた。





「俺を見くびんなよ、蒼空」


耳元に寄せられた甘い声に、ゾクッと身が痺れる。足に力が入らない。




「…や、ぎ…はら君…っ」


掠れた声で名前を呼びながら、八木原君を見る。余裕たっぷりのいつもの彼だった。




「にしても派手な水着だな。ナンパされちまうじゃねぇか」





首の後ろで結んである紐を、八木原君が触る。解かれるのではないかと、内心ビクビクしながら目を瞑る。