櫻田君の左手からメロン味のかき氷を受けとる。


お金はどうすれば……。



「気にしないで食え」

見透かしたように櫻田君が言う。そんなわけにはいかないんですが…。




お金を出そうとしても頑なに阻止されてしまうから、結局諦めるしかなかった。




「ありがとうございます…いただきます」



シャリ、と夏らしい音を立ててかき氷を口に運ぶ。と、すぐに氷が溶けてメロンの甘さが広がった。




「美味しいです!これぞかき氷ですねっ!!」


ニコッと笑い掛ければ、櫻田君はふいと目を逸らした。片手で口元を隠しながら。




……?


「どうしたんですか?具合悪いなら無理しないで休んで下さい」


あたしが迷惑掛けちゃったから…。




「いや、違う…気にするな」


素っ気なく言うと、盛り上がっている橘君と中村君の方へ目を向ける。