「お前…キツネかタヌキなのか?」

「内情をよく知らなければ、着手しない主義なだけです」

「チッ!」

忌々しく舌打ちする真名の態度を了承と受け取り、店の奥を手で示す。

「では奥へどうぞ」

魅弦に案内され、通された店の奥は広い和室だった。

座布団に座り、少し待つように言われた。
 
真名はテーブルに置かれたスケッチブックを取り、ページをパラパラと捲った。

いろいろな人間が描いたのだろう。

たくさんの絵が描かれてあった。…死体の絵が。

そして今は最後のページに、実花の絵が…。

「…こんな絵を遺作にするなんて…おバカめ」

声に出すと、気持ちと共に涙が溢れる。

「お待たせしまし…」