頭や胸を打った彼女達は血を大量に流しながら、命を落とした。

それは事故として、処理された。

けれどそれより先に、実花はその現場を絵として描いていた。

そしてそのページを捲ると…今日見た実花の姿が、スケッチブックいっぱいに描かれていた。

「…っ!」

思わずスケッチブックを閉じた。

絵を見ずとも、目を閉じればありありと浮かんでくる。

絶望に満ちた実花の顔は半分潰れ、制服は真っ赤に染まっていた。

「実花っ…!」

止まりかけた涙が再び溢れそうになるのを、必死で堪える。

今はまだ、泣けない。

泣く時ではない。

実花のことを思って泣くのは、このスケッチブックを処分してからだ。

真名は唇を噛み締めながら、スケッチブックを胸に抱いた。

「消してやる…! 必ずこの世から消してやるっ!」

憎しみに満ちた声は、主のいない室内に虚しく響いた。