【風都】



朝早く起きて昨日準備したバッグを持った。



知らない土地に行くワクワク感と、ちーと1日過ごせる嬉しさ。



「おはよ、風都」

「おはよ」

「バイト代、全部使っちゃダメだからね」

「わかってるって」

「はい、旅館代と交通費」



今回の旅行、親には感謝してもし足りないくらい。



俺とちーの給料じゃ泊まるだけで精一杯だっただろう。



マジで嬉しい…。



「デキ婚だけはやめろよ」

「いい加減聞き飽きたって」

「わかってりゃいいんだけど」



やっと迎えた旅行の日。



わずかな俺の給料ともらった旅費を財布に入れた。



「俺も行きてぇ~…」

「悠都は受験終わってから」

「わかってるし!!期待してるよ、卒業旅行代」



俺とちーを旅行に行かせるのは不公平だと、悠都にも卒業旅行をプレゼントするらしい。



じゃ、俺はそろそろちーを迎えに行く。



いつもより多めの荷物と一緒に家を出た。