「……別に、殺す直前じゃなくてもいいんです」


「どういうことだ?」


平山警部が首を傾げる。



「美衣奈さんは部屋に入ったら必ずコーヒーを飲む。姉ならそのことを知っていますよね」



「きっとな」


平山警部は若奈さんを見た。



「なら、あらかじめインスタントコーヒーに毒を入れておけば鍵なんて必要ないんです」



コーヒー毒を入れ、あとは普通の生活をする。


それで自然とアリバイは成立することになる。