「おい、今からって…――――」
プツッ…――――――
何も考えずに家を飛び出した。
たまらなく嬉しくて、走りだした。
薫は俺をずっと待ってたんだ。
何で気付かなかったんだろう?
何で一人で考え込んでいたんだろう?
答えは簡単だったんだ。
俺と薫の間にちゃんとした関係が必要だったんだ。
口約束じゃ物足りないんだ。
俺は走って、走って、走って……
市役所が締まるちょっと前に着いて、用紙を貰えた。
市役所を出ると辺りは薄暗くなっていた。
「………薫」
『結婚届』と書かれた用紙を眺めて、これから妻になるであろう人の名を呼んだ。
「あれ…?悠太?」

