「久しぶりねぇ〜、英介くん」


「ああ、けいちゃん!」


披露宴は立食形式だった。


その中で、ある男女が再会していた。



「なんか、おっさんっぽくなったね。何、弁護士になるとみーんなこんな顔になっちゃうわけ?」


そう悪態を吐いているのは、薫の一番の親友であるけいであった。

彼女はこの式のために帰省してきた。

というのも、彼女はバスケットボール界では名の知れた選手であり、今もなおその知名度は向上している。




「酷いなあ。『賢くなった』くらいの誉め言葉が欲しかったよ」



対する英介はそれほど気に病む様子もなく、爽やかに笑っていた。



「それにしても、けいちゃん、よく休暇がとれたね。合宿とか遠征とかスケジュールはみっちりじゃないの?」



「そりゃ、みっちりよ!レギュラーだもの。…でもね、親友の生涯一の晴れ姿を見ずして今後私がバスケに集中できると思う?」



けいは物凄い血相で英介を見た。

眉間なシワが寄り、それはそれはまるで仁王像のようなお姿だ。




「いや、それ僕に言われても……。というか、けいちゃんこんな性格だったっけ?」



「そんなことどうでもいいわ!」


「えっ!よくないでしょっ!僕が納得しないよ」



「ふん、一丁前に一人称を『僕』なんかにして…!もうオッサンねっ!」



「理由になってないよ。……もう、どこから突っ込めばいいかわからないよ」



英介が頭を抱えてため息をつくと、司会者が何かを喋り始めた。



『皆さん、新郎新婦の入場です。拍手でお迎えください』


直後、灯りは薄暗くなり、皆が入り口に視線を向けた。


盛大な拍手の中、ゆっくりと開いた大きな扉にライトが当たり、二人が出てきた。