「…すごく愛してる」



耳元のはずなのに、何故か遠い場所から言われている錯覚に陥った。




「言葉じゃ言い表わせられない。薫のすべてが愛おしい。壊してしまいそうなほど、薫を愛してる。離れたくない。俺を愛してほしい」




それは弱い悠太だった。



不安に駆られるほど、私を愛してくれていたことに嬉しさがどっと込み上げる。




「だから、怖い。今日の神に誓うときに、薫が頷いてくれないんじゃないかって…。それは俺の一方的な愛なんじゃないかって…」




悠太の腕は緩められた。


私はその瞬間を見逃さず、反転して俯いている彼の唇を奪った。




「あたしが頷かないはずがないよ。悠太はわかってないね、あたしもね悠太が好きなの。好き過ぎて、片時も離れたくないって思うよ」



「薫…」




「いいよ、」


「え…?」




私は美しくみえるように微笑んだ。




「あたしを、壊してよ……」