携帯を閉じた昂太は立ち上がり、リビングにあるソファーに深く座った。
「ふぃーーー…」
酒を飲んだわけではないのに、こんな声が出てしまった。
それが自分に驚いて、自虐的に笑ってしまった。
「オヤジくせー……」
そういえば最近酒なんて飲んでなかったな、と振り返る。
なんとなく辺りを見渡してキッチンの冷蔵庫の中身を調べようと思った。
扉を開けるとひやっとした冷たい空気が流れてきた。
「お、ビールがある」
昂太は最近自分で買っていたことを忘れていたのだが、それは彼自身にとってはそれほど問題ではない。
二本を手に取り、またソファーに向かった。
カチっと開けると缶ビールの独特な香りが漂った。
―――――…かおり、ねぇ。
開け口をじっと見つめた。
ぼーっとしていた昂太だが、すぐに我に返った。
この香りに包まれていると、あの人を思い出してしまいそうで、昂太は一気に缶ビールを飲み干した。
喉を流れていくのを確認したのち、頭を背もたれに寄り掛からせた。

