<<昂太side>>



人を、あんなに美しいと感じる時は今までになかった。


悠太に譲ってもいい、と言えば嘘になるが、それでも昂太は二人を祝福していた。



「あんなに綺麗な奥さんがいるって、どれだけ幸せなのよ?悠太くんはっ!」




悠太のことを話せば日が暮れてしまうだろうから、ここまで。

あとは自分の引き出しに厳重にしまっておく。鍵をかけて、そうそうなことがない限り、開かないようにする。



今日の自分は最悪だと思った。



なんとなく、最近常に幸せそうな悠太が気に食わなくて…

それに気づいた慎司と一輝の二人が昂太を宥めようと悠太に内緒で、あるレストランに向かう……はずだった。




途中、タクシーを降りるとガラス窓の向こう側に悠太がいかにも幸せそうな顔をしてソファーに座っていた。


一瞬で、頭の思考回路が混乱した。


――――…そして、あの状況に陥ったのである。




嫉妬。



一言で言えば、それに値するのかもしれない。



自分でも、一番カッコ悪いやり方だと思う。


自分にはこれといって今幸せだ、とか嬉しい、楽しいという状況にはない。


唯一言うなれば、balloonとしての活動である。