―――――翌日
薫は悠太とドレスを見にきた。
カランカランと扉を開く音がすると、中にいた店員は訪問者に笑顔を向けた。
「いらっしゃいま…――――!え、えぇ!」
マニュアルに書かれた通りの言葉を述べようとしたが、彼女はそれを喉に詰まらせた。
「ば、ばばballoonの…!」
何を隠そう、目の前に最近話題のグループのボーカルがいるのだ。
上手く口がまわらない店員に吹き出しそうになりながら薫は軽く会釈した。
「この子のドレスを見に来たんです」
悠太が薫の肩に手を添えて言った。
「あ、はい。では、こちらにどうぞ」
店員は二人を招き入れた。
薫にはその店員が頬を染めながら悠太をちらちらと横目で見ているのがわかった。
―――――…確かに有名人だし、かっこいいけど…
喉の奥に何かが引っ掛かる気がした。
そして、何だかモヤモヤする。
しかし、そんな気持ちをいつまで持っていても仕方がないと思った薫は見てみぬふりで自分を誤魔化した。

