家までの帰り道は、いつも近くの河川敷を通る。
すげぇそこは…夕日が綺麗に見えるんだ。
テツは…夕日が好きだ。
だけど、アイツ…榛が来てから、夕日なんて全然見てなかった。
思い出すのが嫌だからだ。
アイツのふにゃふにゃした笑顔を。
テツを呼ぶ、気持ち悪いくらい甘い声を。
虫酸が走る…あの垂れ目。
テツみたいに猫目じゃないから、すげぇ笑ったとき、ふにゃってなんだ。
それが気色悪くて……気色悪くて…気色…悪くて、何だ?
何かもう…わけ分かんねぇよっ!!
むしゃくしゃして立ち止まり、息を大きく吸い込んだ。
そして、
「てめぇなんか嫌いだぁああああ!!……はぁ…はぁ……」
夕日に向かって、一気にそう叫んだ。
そしてまた、歩き出した。



