ひゅっと小さく息を呑むメリクを抱いたまま、ラスはちらりとサダルスウドに視線をやった。
サダルスウドはいつの間にか、足元に魔方陣を描いている。
「サダルメリクは、確かにサダクビア様の‘身体’なのでしょう。ですが中身は、単なる‘サダルメリク’でございますよ。サダクビア様が抜けたときに産まれた、何の力もない、ただの女子(おなご)でございましょう。・・・・・・サダクビア様とは、別人でございます」
ラスにだけ聞こえる声で、サダルスウドはきっぱりと言った。
そして真っ直ぐに、ラスを見つめる。
「王。私はようやく、王に降りた神託の意味がわかりました。一つ、確かめさせてください。サダクビア様は、間違いなくあなた様の妹姫です。ですが、サダルメリクもまた、妹なのは変わりないでしょう。王は・・・・・・ラス様は、ご自分の妹姫を封じることに、異存ありませぬか?」
神託---呪いの解放。
『何を言っておるのじゃ!』
目まぐるしく考えをまとめようと努力するラスの前で、サダクビアが苛立ったように、サダルスウドに向けて力を放った。
だが、サダルスウドの足元の魔方陣が淡く発光し、サダクビアの攻撃を防ぐ。
「サダクビア様を断ち切ることが、おそらく呪いの解放となるのでしょう。完全封印、もしくは滅ぼすことかもしれませぬ。容易ではありませぬし、どのようなことになるか、サダルメリクにどういった影響を与えるかも、わかりませぬ。王は、もしかすると、サダクビア様も、サダルメリクも失うかもしれません。・・・・・・よろしいですか?」
サダルスウドはいつの間にか、足元に魔方陣を描いている。
「サダルメリクは、確かにサダクビア様の‘身体’なのでしょう。ですが中身は、単なる‘サダルメリク’でございますよ。サダクビア様が抜けたときに産まれた、何の力もない、ただの女子(おなご)でございましょう。・・・・・・サダクビア様とは、別人でございます」
ラスにだけ聞こえる声で、サダルスウドはきっぱりと言った。
そして真っ直ぐに、ラスを見つめる。
「王。私はようやく、王に降りた神託の意味がわかりました。一つ、確かめさせてください。サダクビア様は、間違いなくあなた様の妹姫です。ですが、サダルメリクもまた、妹なのは変わりないでしょう。王は・・・・・・ラス様は、ご自分の妹姫を封じることに、異存ありませぬか?」
神託---呪いの解放。
『何を言っておるのじゃ!』
目まぐるしく考えをまとめようと努力するラスの前で、サダクビアが苛立ったように、サダルスウドに向けて力を放った。
だが、サダルスウドの足元の魔方陣が淡く発光し、サダクビアの攻撃を防ぐ。
「サダクビア様を断ち切ることが、おそらく呪いの解放となるのでしょう。完全封印、もしくは滅ぼすことかもしれませぬ。容易ではありませぬし、どのようなことになるか、サダルメリクにどういった影響を与えるかも、わかりませぬ。王は、もしかすると、サダクビア様も、サダルメリクも失うかもしれません。・・・・・・よろしいですか?」


