『わらわはサダクビア。といってもこの名は、そこなサダルスウドが、お情けでつけた名じゃ。ラス・・・・・・会いたかったぞ』
ラスの頬に、サダクビアの冷たい指が触れる。
思わずラスは、その手を払いのけていた。
「お、お前は一体何者だ。こいつが封じられていたのなら、俺の妹はこいつなのではないか?」
叫ぶラスに、不愉快そうに眉を顰め、サダクビアはラスの腕の中で震えるメリクに視線を落とした。
その視線に、メリクの震えが大きくなる。
一方自分で言いながら、ラスは己の言葉の矛盾に気づいた。
メリクがラスの妹なら、同じ歳であるはずだ。
が、メリクはどう見ても、十六ではない。
『その娘、五年ほど前に、現れたのじゃろう』
サダクビアが、メリクを見たまま言った。
『わらわは母君の力を、そっくり受け継いだ。もしかすると、母君以上かもしれぬ。実際母君に会うたことはないのでな。氷に封じられても、生き続けられたのはそのためよ。じゃが、いかにわらわでも、氷の中で生き続けるのは容易ではない。幼子のころは、迷い込んだ者や、わらわを探しに来た輩を喰らうことで凌げたが、成長するにつれて、それだけでは足りなくなる。そこで、それじゃ』
サダクビアが、ひょいとラスの背後を指差す。
「コアトル・・・・・・!」
ラスの呟きに、満足げに頷く。
ラスの頬に、サダクビアの冷たい指が触れる。
思わずラスは、その手を払いのけていた。
「お、お前は一体何者だ。こいつが封じられていたのなら、俺の妹はこいつなのではないか?」
叫ぶラスに、不愉快そうに眉を顰め、サダクビアはラスの腕の中で震えるメリクに視線を落とした。
その視線に、メリクの震えが大きくなる。
一方自分で言いながら、ラスは己の言葉の矛盾に気づいた。
メリクがラスの妹なら、同じ歳であるはずだ。
が、メリクはどう見ても、十六ではない。
『その娘、五年ほど前に、現れたのじゃろう』
サダクビアが、メリクを見たまま言った。
『わらわは母君の力を、そっくり受け継いだ。もしかすると、母君以上かもしれぬ。実際母君に会うたことはないのでな。氷に封じられても、生き続けられたのはそのためよ。じゃが、いかにわらわでも、氷の中で生き続けるのは容易ではない。幼子のころは、迷い込んだ者や、わらわを探しに来た輩を喰らうことで凌げたが、成長するにつれて、それだけでは足りなくなる。そこで、それじゃ』
サダクビアが、ひょいとラスの背後を指差す。
「コアトル・・・・・・!」
ラスの呟きに、満足げに頷く。


