雨のように降り注いでいた氷の欠片がようやく収まってから、ラスはコアトルの翼の下から立ち上がった。
先程まで姫君が眠っていた柱は、空洞を残して前面が砕けている。
そして、その下には、地に着くほどの銀色の髪を垂らした、白い少女が佇んでいた。
---呪いの解放---
不意にラスの頭に、トゥバンの神託が蘇る。
これが呪いの解放なんだろうかと、目の前の少女を見つめるラスに、少女はゆっくりと閉じていた目を開いた。
その瞳は、透き通るサファイア。
ラスだけでなく、傍らのサダルスウドも息を呑んだ。
このような瞳の色、コアトル以外ではあり得ない。
考えてみれば、全身をすっぽり覆うほどの銀の髪も、コアトルの鱗の色ではないか。
ラスのコアトルが、少し後ろで、ぎゃあぁ、と鳴いた。
『ラス・アルハゲ・・・・・・。そなたがこの地に降り立ったことで、神官どもの封印が解けた。愛しい我が兄よ・・・・・・』
白い乙女は口を開く。
その声は、どこか遠くから聞こえるようでもあり、頭の中に直接響いてくるような、不思議な響きを持っている。
ゆっくりと足を踏み出す美姫に、ラスのコアトルが威嚇するように唸り、忙しなく舌をちろちろと出す。
そのとき、ラスの腕の中で、メリクが大きく震えた。
「ああ・・・・・・お、思い出した・・・・・・。わたくしは・・・・・・あの氷の中に・・・・・・」
ラスにしがみつくメリクは、がたがたと震えながら、目の前の白い乙女を凝視する。
サファイアの瞳が、真っ直ぐにメリクを射抜いた。
「どういうことだ。お前が封じられていたというのか? 氷の美姫は、ちゃんと氷の中にいたじゃないか」
先程まで姫君が眠っていた柱は、空洞を残して前面が砕けている。
そして、その下には、地に着くほどの銀色の髪を垂らした、白い少女が佇んでいた。
---呪いの解放---
不意にラスの頭に、トゥバンの神託が蘇る。
これが呪いの解放なんだろうかと、目の前の少女を見つめるラスに、少女はゆっくりと閉じていた目を開いた。
その瞳は、透き通るサファイア。
ラスだけでなく、傍らのサダルスウドも息を呑んだ。
このような瞳の色、コアトル以外ではあり得ない。
考えてみれば、全身をすっぽり覆うほどの銀の髪も、コアトルの鱗の色ではないか。
ラスのコアトルが、少し後ろで、ぎゃあぁ、と鳴いた。
『ラス・アルハゲ・・・・・・。そなたがこの地に降り立ったことで、神官どもの封印が解けた。愛しい我が兄よ・・・・・・』
白い乙女は口を開く。
その声は、どこか遠くから聞こえるようでもあり、頭の中に直接響いてくるような、不思議な響きを持っている。
ゆっくりと足を踏み出す美姫に、ラスのコアトルが威嚇するように唸り、忙しなく舌をちろちろと出す。
そのとき、ラスの腕の中で、メリクが大きく震えた。
「ああ・・・・・・お、思い出した・・・・・・。わたくしは・・・・・・あの氷の中に・・・・・・」
ラスにしがみつくメリクは、がたがたと震えながら、目の前の白い乙女を凝視する。
サファイアの瞳が、真っ直ぐにメリクを射抜いた。
「どういうことだ。お前が封じられていたというのか? 氷の美姫は、ちゃんと氷の中にいたじゃないか」


