「父上がお亡くなりになって、奴らは事を起こした、ということか」
「そう・・・・・・なりますね。王は私を信頼してくださいました。巫女を妃に迎えたいと、密かに相談されたときは驚きましたが、他の誰でもない、私に胸中を打ち明けてくださったことに、私は周囲の反対を押し切っても、王の願いを叶えて差し上げようと誓いました」
「・・・・・・母上は、本当に・・・・・・トゥバンが選んだ、王の巫女なのか?」
慎重に、ラスは口を開いた。
神官が語る‘神託’は信じないが、神託自体を信じていないわけではない。
現に、ラスは自身で直接神託を受けている。
即位の儀式で聞こえた神託は、誰の口を借りたわけでもない、直接ラスの頭に響いてきた。
内容はともかく、あれだけは、本当の神託と言える。
サダルスウドは、確信を持った顔で頷いた。
「ラス様は、神託など、信じられませんでしょう。今現在、神殿に仕える者ですら、信心のある者は、ごく僅かです。そのような者に、偉大なるトゥバンが、お言葉を降ろすはずがありませぬ」
「・・・・・・神殿を信じぬ俺も、信心がないということにはならぬか?」
「ラス様は、神官が嫌いなだけで、トゥバンを信じぬわけではありますまい」
ラスは少し、意外に思った。
まだ会ってから、大して経っていない。
だがサダルスウドは、ラスのことをよく知っているようだ。
「情けないことですが、今の最高神官はじめ、主立った神殿の者は、最早権力欲の塊です。私より前の神官は、確かにトゥバンの声を聞くことができましたのに。ラス様、先代王のお妃様、あなた様のお母上は、間違いなくトゥバンに選ばれし、類い希なる力を秘めた巫女姫でした」
「そう・・・・・・なりますね。王は私を信頼してくださいました。巫女を妃に迎えたいと、密かに相談されたときは驚きましたが、他の誰でもない、私に胸中を打ち明けてくださったことに、私は周囲の反対を押し切っても、王の願いを叶えて差し上げようと誓いました」
「・・・・・・母上は、本当に・・・・・・トゥバンが選んだ、王の巫女なのか?」
慎重に、ラスは口を開いた。
神官が語る‘神託’は信じないが、神託自体を信じていないわけではない。
現に、ラスは自身で直接神託を受けている。
即位の儀式で聞こえた神託は、誰の口を借りたわけでもない、直接ラスの頭に響いてきた。
内容はともかく、あれだけは、本当の神託と言える。
サダルスウドは、確信を持った顔で頷いた。
「ラス様は、神託など、信じられませんでしょう。今現在、神殿に仕える者ですら、信心のある者は、ごく僅かです。そのような者に、偉大なるトゥバンが、お言葉を降ろすはずがありませぬ」
「・・・・・・神殿を信じぬ俺も、信心がないということにはならぬか?」
「ラス様は、神官が嫌いなだけで、トゥバンを信じぬわけではありますまい」
ラスは少し、意外に思った。
まだ会ってから、大して経っていない。
だがサダルスウドは、ラスのことをよく知っているようだ。
「情けないことですが、今の最高神官はじめ、主立った神殿の者は、最早権力欲の塊です。私より前の神官は、確かにトゥバンの声を聞くことができましたのに。ラス様、先代王のお妃様、あなた様のお母上は、間違いなくトゥバンに選ばれし、類い希なる力を秘めた巫女姫でした」


