「お前がこの遠征に同行したのは、今回のことが氷の美姫に関することだからだな? 先に言った、前代未聞というのは、巫女を母に持つ、俺のことだろう。お前の態度から察するに、氷の美姫とエルタニン王家・・・・・・俺個人か? には、何か関係があるのだろう」
サダルスウドは床に座ったまま、じっとラスを見つめている。
「俺は少し前に、書斎で氷の美姫の伝説について書かれた巻物を見つけた」
ぴくりとサダルスウドの肩が揺れた。
「わざわざ昔風の巻物に、手書きで書かれ、ご丁寧に他の書物に紛れるよう、書物の形をした箱に入っていた。・・・・・・なかなか興味深い内容だったぞ」
微かに震えるサダルスウドは、己を落ち着かせるように、目を閉じた。
一つ息をつき、こくりと頷く。
「・・・・・・その内容、お聞きしても、よろしいですか?」
ラスは、顔を上げたサダルスウドを、真っ直ぐに見つめた。
何かを決意したようなサダルスウドは、先程のように、ラスの視線にたじろぐことはない。
「私は、王の仰るように、氷の美姫探索にエルタニン軍が参加するからこそ、今回の遠征に参加したのです。いえ、おそらくただエルタニン軍が参加する、というだけでは、動かなかったかもしれませぬ。王が自ら、指揮を執られるとお聞きして、それなら何としても同行しなければ、と、この老体に鞭打って、私自ら従軍したのです」
サダルスウドを見るラスの片眉が、僅かに上がる。
サダルスウドは床に座ったまま、じっとラスを見つめている。
「俺は少し前に、書斎で氷の美姫の伝説について書かれた巻物を見つけた」
ぴくりとサダルスウドの肩が揺れた。
「わざわざ昔風の巻物に、手書きで書かれ、ご丁寧に他の書物に紛れるよう、書物の形をした箱に入っていた。・・・・・・なかなか興味深い内容だったぞ」
微かに震えるサダルスウドは、己を落ち着かせるように、目を閉じた。
一つ息をつき、こくりと頷く。
「・・・・・・その内容、お聞きしても、よろしいですか?」
ラスは、顔を上げたサダルスウドを、真っ直ぐに見つめた。
何かを決意したようなサダルスウドは、先程のように、ラスの視線にたじろぐことはない。
「私は、王の仰るように、氷の美姫探索にエルタニン軍が参加するからこそ、今回の遠征に参加したのです。いえ、おそらくただエルタニン軍が参加する、というだけでは、動かなかったかもしれませぬ。王が自ら、指揮を執られるとお聞きして、それなら何としても同行しなければ、と、この老体に鞭打って、私自ら従軍したのです」
サダルスウドを見るラスの片眉が、僅かに上がる。


