一通りの取り決めが終わり、皆が部屋から去ってから、サダルスウドがラスに歩み寄った。
「王。どうか私も、近衛隊と共に、前線に行かせてください」
長椅子に身体を預けたまま、ラスは目だけを動かして、少し離れたところに佇む老人を見た。
何故、と聞くのも煩わしい。
そう言うだろうとも思っていた。
「お前は、何を知っている」
ラスの低い問いに、サダルスウドは一瞬だが傍目にもわかるほど、身体を強張らせた。
さらにラスの視線に耐えられなくなったように、その場に膝を付く。
先の会議のときといい、サダルスウドのラスに対する態度は異常だ。
一定の距離以上は絶対に近づかないし、ラスについて回るくせに、ラスの視線には耐えられない。
他の神官の、侮蔑のこもった態度とは違う、ひたすらラスを恐れているような態度なのだ。
ラスは身を起こし、自らサダルスウドのほうに踏み出した。
ラスが近づくにつれ、サダルスウドの身体の震えが大きくなる。
「お前は、俺の何がそんなに怖いのだ。お前からしたら、俺などほんのひよっこだろう」
サダルスウドのすぐ前で、ラスはしゃがみ込んだ。
震えるサダルスウドに、顔を近づける。
「と、とんでもございません。王に近づかれて、震えない者など、おりますまい」
ふるふると首を振りながら言うサダルスウドに、ラスは鼻を鳴らす。
「お前ら神官が、そんな殊勝なことを思うものか。そのようなおべんちゃらを聞くために、わざわざお前に話を振っているわけではない」
ラスは立ち上がり、上からサダルスウドを見下ろした。
「王。どうか私も、近衛隊と共に、前線に行かせてください」
長椅子に身体を預けたまま、ラスは目だけを動かして、少し離れたところに佇む老人を見た。
何故、と聞くのも煩わしい。
そう言うだろうとも思っていた。
「お前は、何を知っている」
ラスの低い問いに、サダルスウドは一瞬だが傍目にもわかるほど、身体を強張らせた。
さらにラスの視線に耐えられなくなったように、その場に膝を付く。
先の会議のときといい、サダルスウドのラスに対する態度は異常だ。
一定の距離以上は絶対に近づかないし、ラスについて回るくせに、ラスの視線には耐えられない。
他の神官の、侮蔑のこもった態度とは違う、ひたすらラスを恐れているような態度なのだ。
ラスは身を起こし、自らサダルスウドのほうに踏み出した。
ラスが近づくにつれ、サダルスウドの身体の震えが大きくなる。
「お前は、俺の何がそんなに怖いのだ。お前からしたら、俺などほんのひよっこだろう」
サダルスウドのすぐ前で、ラスはしゃがみ込んだ。
震えるサダルスウドに、顔を近づける。
「と、とんでもございません。王に近づかれて、震えない者など、おりますまい」
ふるふると首を振りながら言うサダルスウドに、ラスは鼻を鳴らす。
「お前ら神官が、そんな殊勝なことを思うものか。そのようなおべんちゃらを聞くために、わざわざお前に話を振っているわけではない」
ラスは立ち上がり、上からサダルスウドを見下ろした。


