「ふふ・・・・・・。これほど良い男だとは。ガストン様に、感謝だわ」

よほど自分の身体に自信があるのか、女は先程までの態度をがらりと変えた。
事実、この身体を目にした男で、落ちなかったものはいない。
どんなに殺気立った男でも、面白いように言いなりになるものだ。
ましてこの王はまだ若い。

女はひょいと剣先を避け、ラスに近づくと、遠慮無く彼にしなだれかかった。
豊満な身体を押しつけ、ラスの唇を貪るように奪った。

「っ!!」

ぱっと女が、ラスから離れる。
驚いたように目を見開く女の唇から、みるみる血が流れ出す。
同時に、ラスの身体が力を失い、がくりと寝台の上に片手をついた。

「ガストン・・・・・・。なるほど、イヴァンの・・・・・・知事だな」

イヴァンでは、皇太子以外の皇子は、各地方の知事となる。
ガストンとかいうのも、確かどこかの知事に納まっている皇族の一人だ。

「まぁ、手荒なかたね。大人しくしておれば、快楽のままに事を済ませてあげられるのに」

ぐい、とラスに噛み切られた唇の血を拭い、女は不敵に笑う。

「私だって、どうせなら楽しく仕事したいわ。相手があなたのような色男だと、サービスにだって、力が入るというものよ」

片手をついているラスの肩をぐい、と押し、寝台に押し倒すと、女はラスの腰帯に手をかけた。