「それに、お前と同じように、俺も何か・・・・・・イヴァンには惹かれていたんだ。惹かれる、というか、それこそ行かなければ、という思いというか。氷の美姫の話を知ってからは、求めていたものが確定された感じだったんだが、ま、氷の美姫自体が、どこにいるのかわからんからな。本当にいるのかもわからんし。だから今回の軍は、まぁ言ってみれば願ったりだな」

「・・・・・・危険・・・・・・なのでは?」

言いながらも、メリクの心の波紋は広がり続ける。

「かもしれんが、長年の謎が解けるかもしれない。行かねばならんという気持ちがあるなら、行ってみるべきだろう」

メリクは大きく頷く。
もしかしたら、自分は氷の美姫探索に出るラスを守るために、存在するのかもしれない。
メリクは決意を述べるために、ラスを見つめた。

「お前も来るだろう?」

メリクが口を開く前に、ラスが言った。
当たり前のように言うラスに、メリクは驚く。
どう考えても足手まといでしかないので、ここに置いて行かれると思っていた。

「よろしいのですか?」

「ああ。元々そのつもりで来たのだろ。それに何となく、お前がいたほうが、目的のものが見つかりやすいような気がする」

言いながらラスは、布団を一枚引っ張り、メリクに投げて寄越した。

「そっちに、長椅子があるだろう。そこで寝ろ」

続き部屋のほうにある長椅子は、少し小さめだが、メリクが寝る分には十分だ。
メリクは布団を抱え、立ち上がって勢い良く頭を下げた。

「ありがとうございます!」

ラスはいまだに腰にあった宝剣を取ると、自分の枕の下に入れる。
誰も信用しない、ラスの習慣だ。