「あら。そうに決まってますわ。こちらに入られてからすぐ、もう侍女たちが騒いでおりましたもの。お茶をお持ちする役だって、きっと取り合いでしたわよ」
王城前で、ルッカサの宰相に挨拶し、その後城内の大きな吹き抜けの広場で、遠く離れた女王に挨拶。
一連の形式的な儀礼を済ませた後で、今はラスだけがエルタニン王として、ルッカサ女王に招かれ応接間にいるのだ。
広げた扇の向こうから笑いかける女王に、ラスは何となく居心地の悪さを感じ、話題を変えた。
「そういえば、女王様はミルバの鱗など、お持ちですか?」
いきなりの話題転換に、女王はきょとんとしたが、すぐに頷く。
「ええ、それなりに。でも最近は、上手くミルバを呼び寄せられる者がいなくて、鱗を取ることが難しいようですわ。エルタニンでも流通してますの? 綺麗なものでしょう?」
メリクが取っているのを見た限りでは、そう難しいことではないように思えたが。
だがそもそも、エルタニンでは見ない宝石だ。
取り方など、知るはずもない。
そういえば、歌声に惹かれてやってくる、とか言っていたな、と思い、ラスは布に包んだ鱗を差し出した。
「ルッカサに来る途中、うちの巫女が取ったようです」
まぁ、と驚いたように、女王は鱗を一枚手にとって、まじまじと観察した。
「素晴らしい巫女様ですのね。ミルバの鱗でも、下手な者が取ると、割れていたり小さかったりするのですよ。これほど立派な鱗、あまりお目にかかれませんわ」
そうなんだ、と心の中で、ラスはメリクを思った。
あの鈍くさい巫女に、そのような特殊能力があったとは。
王城前で、ルッカサの宰相に挨拶し、その後城内の大きな吹き抜けの広場で、遠く離れた女王に挨拶。
一連の形式的な儀礼を済ませた後で、今はラスだけがエルタニン王として、ルッカサ女王に招かれ応接間にいるのだ。
広げた扇の向こうから笑いかける女王に、ラスは何となく居心地の悪さを感じ、話題を変えた。
「そういえば、女王様はミルバの鱗など、お持ちですか?」
いきなりの話題転換に、女王はきょとんとしたが、すぐに頷く。
「ええ、それなりに。でも最近は、上手くミルバを呼び寄せられる者がいなくて、鱗を取ることが難しいようですわ。エルタニンでも流通してますの? 綺麗なものでしょう?」
メリクが取っているのを見た限りでは、そう難しいことではないように思えたが。
だがそもそも、エルタニンでは見ない宝石だ。
取り方など、知るはずもない。
そういえば、歌声に惹かれてやってくる、とか言っていたな、と思い、ラスは布に包んだ鱗を差し出した。
「ルッカサに来る途中、うちの巫女が取ったようです」
まぁ、と驚いたように、女王は鱗を一枚手にとって、まじまじと観察した。
「素晴らしい巫女様ですのね。ミルバの鱗でも、下手な者が取ると、割れていたり小さかったりするのですよ。これほど立派な鱗、あまりお目にかかれませんわ」
そうなんだ、と心の中で、ラスはメリクを思った。
あの鈍くさい巫女に、そのような特殊能力があったとは。


