ここは意見しておこう、と、隊長が口を開きかけたとき、不意にコアトルが小さく身を捩った。
ぎゃ、と鳴き、頭を後ろに曲げる。
「どうしたんだ?」
ラスは身を乗り出し、コアトルの目を覗き込んだ。
コアトルは何かを訴えるように、ぎゃ、ぎゃ、と鳴き続ける。
ラスはちらりと振り返った。
遙か後ろのほうから、メリクが一生懸命走ってくる。
その様子をじっと見つめるラスの眉間に、皺が刻まれた。
コアトルに目を戻せば、サファイアの瞳が、じっとラスを見る。
「・・・・・・わかったよ」
呟き、ラスはコアトルを促して、後退した。
あっという間にメリクの元まで移動すると、ラスは手を伸ばして、メリクの衣の襟を掴んだ。
ちょっと足を踏ん張るだけで、メリクの身体はあっさりと宙に浮く。
ラスはそのまま、メリクを自分の前に放り出すようにして、手を離した。
ずり落ちそうになり、メリクが慌ててコアトルにしがみつく。
メリクを乗せるのを待っていたように、コアトルはぐんと高度とスピードを上げた。
メリクが身体を起こすこともできずに、息を呑む。
ラスは慣れている上に手綱を持っているが、メリクは持つものがないのだ。
コアトルの身体はつるりとしていて掴めないし、唯一毛のある部分は翼だけなので、掴まるわけにはいかない。
おまけにヴォルキーなどと違って、コアトルの身体は、水平になっている部分は少ない。
蛇なので、一定の形でいることが少ないのだ。
斜めになったコアトルの上で、うつぶせに引っかかっているような状態のメリクの身体は、重力に従ってラスのほうへとずり落ち、すでに彼の足に支えられている状態だ。
ラスに触れている二の腕と太股が固まる。
乗せてくれたのは有り難いが、メリクは泣きそうになりながら、必死でコアトルにしがみついていた。
ぎゃ、と鳴き、頭を後ろに曲げる。
「どうしたんだ?」
ラスは身を乗り出し、コアトルの目を覗き込んだ。
コアトルは何かを訴えるように、ぎゃ、ぎゃ、と鳴き続ける。
ラスはちらりと振り返った。
遙か後ろのほうから、メリクが一生懸命走ってくる。
その様子をじっと見つめるラスの眉間に、皺が刻まれた。
コアトルに目を戻せば、サファイアの瞳が、じっとラスを見る。
「・・・・・・わかったよ」
呟き、ラスはコアトルを促して、後退した。
あっという間にメリクの元まで移動すると、ラスは手を伸ばして、メリクの衣の襟を掴んだ。
ちょっと足を踏ん張るだけで、メリクの身体はあっさりと宙に浮く。
ラスはそのまま、メリクを自分の前に放り出すようにして、手を離した。
ずり落ちそうになり、メリクが慌ててコアトルにしがみつく。
メリクを乗せるのを待っていたように、コアトルはぐんと高度とスピードを上げた。
メリクが身体を起こすこともできずに、息を呑む。
ラスは慣れている上に手綱を持っているが、メリクは持つものがないのだ。
コアトルの身体はつるりとしていて掴めないし、唯一毛のある部分は翼だけなので、掴まるわけにはいかない。
おまけにヴォルキーなどと違って、コアトルの身体は、水平になっている部分は少ない。
蛇なので、一定の形でいることが少ないのだ。
斜めになったコアトルの上で、うつぶせに引っかかっているような状態のメリクの身体は、重力に従ってラスのほうへとずり落ち、すでに彼の足に支えられている状態だ。
ラスに触れている二の腕と太股が固まる。
乗せてくれたのは有り難いが、メリクは泣きそうになりながら、必死でコアトルにしがみついていた。


