七日間の船旅を経て、エルタニン軍はルッカサに入った。
船を下りてからルッカサ王城までは、陸路である。
兵士たちはそれぞれの隊ごとに、移動手段であるヴォルキーとチーリェフという動物を借りている。
「それなりに意思の疎通が必要ですから、前もってイヴァンより借り受けておきました」
どちらにしますか? と言う近衛隊長に、ラスは傍らに浮かぶコアトルを、ぽんと叩いた。
「俺はこいつでいい」
この中にもコアトルを所有している者はいるが、皆今回の軍には同行していない。
他の土地にコアトルはいないため、‘エルタニンの主神・トゥバンの子’として大事にされるコアトルを、不用意に他国まで同行させている者はいないのだ。
気温の違いがどう出るか、わからない。
だが、王や世継ぎの王子のコアトルが特別なのは、エルタニンの民なら誰しも知っていることである。
「しかし、寒冷地でもコアトルは大丈夫なのですか?」
特別だ、とはわかっていても、それは単に‘他のコアトルとは違う’といった知識だけで、具体的にどこが違うのかはわからない。
瞳の色が他と違うということと、主と運命を共にするということぐらいしか、違いはわかっていないのだ。
それはラスも同じなのだが、彼はさして気にすることもなく頷いた。
「他のコアトルは知らんが、こいつは大丈夫だ。でも暖は取れないから、厚めの外套を用意してくれ」
「わかりました」
ヴォルキーやチーリェフは、角で暖を取ることができるのだが、さすがにコアトルには、そのような角はない。
船を下りてからルッカサ王城までは、陸路である。
兵士たちはそれぞれの隊ごとに、移動手段であるヴォルキーとチーリェフという動物を借りている。
「それなりに意思の疎通が必要ですから、前もってイヴァンより借り受けておきました」
どちらにしますか? と言う近衛隊長に、ラスは傍らに浮かぶコアトルを、ぽんと叩いた。
「俺はこいつでいい」
この中にもコアトルを所有している者はいるが、皆今回の軍には同行していない。
他の土地にコアトルはいないため、‘エルタニンの主神・トゥバンの子’として大事にされるコアトルを、不用意に他国まで同行させている者はいないのだ。
気温の違いがどう出るか、わからない。
だが、王や世継ぎの王子のコアトルが特別なのは、エルタニンの民なら誰しも知っていることである。
「しかし、寒冷地でもコアトルは大丈夫なのですか?」
特別だ、とはわかっていても、それは単に‘他のコアトルとは違う’といった知識だけで、具体的にどこが違うのかはわからない。
瞳の色が他と違うということと、主と運命を共にするということぐらいしか、違いはわかっていないのだ。
それはラスも同じなのだが、彼はさして気にすることもなく頷いた。
「他のコアトルは知らんが、こいつは大丈夫だ。でも暖は取れないから、厚めの外套を用意してくれ」
「わかりました」
ヴォルキーやチーリェフは、角で暖を取ることができるのだが、さすがにコアトルには、そのような角はない。


