なら、自分は神殿で育ちはしたが、ただの拾われ子で、巫女でも何でもないのだと、言ってしまえばどうだろう。
ラスの神官への憎悪は増すだろうが、そんなこと、今更のような気もする。
そう考えて、メリクは、はっとした。
今までは神殿のため、とも思い、己の出自は言わなかったが、いつの間にかそのような気持ちは、なくなってしまったようだ。
なくなった、というより、神殿よりもラスのほうが、メリクの中で、大きくなってしまったのか。
でも、では何故まだ言わないのか。
メリクはぎゅっと、書類の上の手を握りしめた。
何の力もないとわかれば、それこそラスから遠ざけられるかもしれない。
それが怖いのだ。
巫女であれば、有益な神託を降ろせるかもしれない。
だから、厭うてはいても、傍に置いておく価値はある。
が、部屋に散った書類一つ、満足に集められないような、ただの女子(おなご)を、手元に置く価値はない。
メリクは唇を噛みしめた。
もう少し、役に立てたら。
ただの女子(おなご)でも、せめてもうちょっと美しい大人であれば、夜伽だけでもできるのに。
はっきりとした歳は自分でもわからないが、メリクはまだ、少女の域を出ない。
よくて、十二歳ぐらいでしかないのだ。
ラスの神官への憎悪は増すだろうが、そんなこと、今更のような気もする。
そう考えて、メリクは、はっとした。
今までは神殿のため、とも思い、己の出自は言わなかったが、いつの間にかそのような気持ちは、なくなってしまったようだ。
なくなった、というより、神殿よりもラスのほうが、メリクの中で、大きくなってしまったのか。
でも、では何故まだ言わないのか。
メリクはぎゅっと、書類の上の手を握りしめた。
何の力もないとわかれば、それこそラスから遠ざけられるかもしれない。
それが怖いのだ。
巫女であれば、有益な神託を降ろせるかもしれない。
だから、厭うてはいても、傍に置いておく価値はある。
が、部屋に散った書類一つ、満足に集められないような、ただの女子(おなご)を、手元に置く価値はない。
メリクは唇を噛みしめた。
もう少し、役に立てたら。
ただの女子(おなご)でも、せめてもうちょっと美しい大人であれば、夜伽だけでもできるのに。
はっきりとした歳は自分でもわからないが、メリクはまだ、少女の域を出ない。
よくて、十二歳ぐらいでしかないのだ。


