その間、数秒の沈黙。


「……話の流れ、分かってねぇんですか?」


そう言う事じゃないのは分かっている。うん。


だから、しかめっ面をしないでほしい。変な敬語も使わないでもらいたい。これ多分、湊がイラッとしてる証拠だよね。


イラッとさせてしまうのは私の本意ではない。あ、そうか。最初からちゃんと言えばよかったんだ。


よし言おうと決心した途端、「あ」と閃いたような声が聞こえた。


「先輩も、照れてるんですか?」


しかめっ面から一変。してやったり顔になった。コイツ、こんな奴だったかな?


残念ながら照れてるとかそう言うわけではない。意を決して決心したことを口にした。


「……私、名前知らない」


また顔をしかめたのだった。