一度目指した道が途切れたとしても、人生というものにはいくらでも選択肢があるからだ。


 あたし自身、実のところ、実家と決別したのが本音だった。


 父親は酒ばかり飲んで、家に金を入れないどころか、あたしに対しあらゆる類の暴力を振るう。


 姉も風俗やキャバクラなどの仕事に手を染めて、まともなことは何一つとしてなかった。


 単に遊び回るだけだ。


 あたしも正直なところ、呆れ返っていた。


 父や姉に対して。


 あまりのひどさに。


 元々、母が四十代半ばで脳梗塞で亡くなったのは父の事業の失敗が原因だった。


 ベンチャー企業の経営者などと聞こえのいい事を言っていたのだが、実際、世の中の情勢を見極めきれずに、途中で投げ出して倒産しまったのだ。


 それからアル中になり、大量に酒を飲むようになる。