学生さん

 歩くと少し暑いぐらいだ。


 だけど、また謙太と過ごせる楽しい季節が訪れる。


 もちろんあたしは大学職員として学校に残り、桃山や浩太の仕事を手伝うことになるのだが……。


 美智香は今、子育てに追われているらしい。


 あたし自身、謙太と一緒にいられる時間は確保できると思える。


 土日など大学が休みの日は、あたしが彼の部屋に行くのもいいのだし、逆に部屋に来てくれても構わなかった。


 あたしは来る前期から、学生という肩書きを失う。


 他人より出遅れたとはいえ、もう立派な社会人だ。 


 そしてあたしたちの愛は深まっていく。


 お互い成熟した大人同士として。


 先行きを気にすることはないと思っていた。


 あたし自身、順調に来すぎるぐらい順調に来たとは言っても。