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 あたしの留学先は<ニューヨークイングリッシュカレッジ>という大学の文学部の院だった。


 開告大の院で取っていた単位はちゃんと互換・認定されていて、あたしは一年弱、そこの大学院に行けば、帰国後博士課程に行く資格が取れる。


 比較的伸び伸びとした感じの学校だった。


 まあ、研究が主体なので、日本でカサ研に詰めていたのと同じように、ずっと研究室に詰め続けていたのだが……。


 あたし自身、毎日ニューヨークの街を練り歩く。


 多数のビルが林立する大都会だ。


 行き交う人たちは皆、知らない人ばかりである。


 慣れつつあった。


 人種の坩堝(るつぼ)に。


 全て英会話で、あたしは日常の会話はもちろん、専門的な英語でも話したり、書いたりすることが出来た。