25
 九月下旬に開告大学大講堂で学会があった。


 あたしは研究成果をレジュメにまとめ、緊張する中、初の登壇をした。


 発表したいことはちゃんと整理してある。


 与えられた持ち時間の中で、いかに上手く話が出来るかがポイントだ。


 あたし自身、自宅マンションで相当予行演習をした。


 喋り方にはコツがあるのが分かっていたのだが、要は言いたいことを先にズバッと言い、その後、関連事項を肉付けしていく方法でいいと思える。


 学会にはスーツで臨んだ。


 緊張感が漲(みなぎ)る。


 だけど、これは自分が将来的に研究者になって、大学で授業をする方に回るための試練だ。


 確かにずっと黙り込みがちな学生にとって、学会での研究発表は難しい。


 あたしも過去に先輩研究者たちが発表した演題を見ながら、どれも難解なものだと分かったし、実際専門的な研究となると大変である。