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 あたしたちはその日の夕方、一緒に食事を取ると、同じベッドに寝転がり寛いでいた。


 確かに謙太は一仕事終えている。


 おそらく次の作品も構想中なのだろう。


 あたしは彼がせっかく入った大学院を修士の途中で辞めてしまったのはもったいないと思っていたのだが、自分なりに考えた結果だとも感じられる。


 おそらく相当悩んだはずだ。


 学問の世界に生きるか、芸術の世界に身を置くかを、だ。


 だけど謙太は文芸の世界に身を置くという意思表示をちゃんとした。


 こういったことって案外難しい。


 あたしも彼が創作の世界に身を投じて、そこで一旗でも二旗でも上げるのは大変だろうなと思う。


 でも自分で決めた人生選択なのだからいいと思うし、実際これから先、いろんなことが見えてくるはずだ。


 あたしはそんな謙太をそっと後押しするつもりでいた。