それはたった一粒だけど、あたしには十分な感情だった。 気付いたら、ヨウスケに掴まれた手を振り解いてた。 そして、無我夢中に走った。 もう誰の声なのか、誰が叫んでるのか、全然聞こえなくて。 頭の中が真っ白になって、でもどんどん黒いドロドロした何かが溢れ出した。 気付くとお家の門の前に突っ立ってて、どんだけ走ったんだろって苦笑した。