「別に」

「照れたとこもいいけどさ」

「からかわないで」


こういうときはまだまだ素直になれていないな。まだ登駕の方が上手だ。


「はいはい、行くって」

やっとくるりと背を向けた彼。


いや、もう少し卒業生におめでとうくらい…。もうあまり会えないかもしれないのに。


「……真尋」


え、と振り向いた先には優しく笑う彼の姿が。急になんなんだ。


「なに?」

「――おめでと、真尋」


優しく、大好きな笑顔を残して。君は駆け出した。