「せっかくの静かな空間が台無しじゃない?」


ひとつ年下の――君


「そんな風に言うなよ。ビオラ咲いたんだな」


卒業式間に合ったな、とニヤリと笑っている。

…彼がこんなふうに笑うのはわたしの前でだけ。


それはいつものように屈託のないイタズラっ子みたいな笑顔で。どきりとしてしまう。


「準備…サボってきた?」

「人聞き悪いな、休憩」

「ふうん?」

「会いたい口実にしちゃだめかよ」

「なっ……」


恥ずかしい台詞をぬけぬけと言った君はにかっと笑う。

不意打ちしないでほしい。

式の前に、顔を赤くしたくないのに。


「あ、照れた」