君と出逢ってから一年が経とうとしているなんて。

信じがたいし、あっという間だった。

わたし、浜崎真尋。今日でいよいよ中学校を卒業することになりました。


淡い桜の花びらたちがきらきらと光って、ひらひらと舞い降りてくる。

ビオラが咲き誇るこの花壇とも、お別れ。


ふと空を仰いだら、ぽっかりと穏やかに流れていくひつじ雲。


――1年前まではまだ。


あたしはまだ君の大切さや存在の大きさに全然気づけていなかった。

今じゃそんなこと考えられないくらい、君のことばかり。


それまではまだ先輩と後輩、この関係が当たり前で。


これ以上でも以下でもなかった安全な檻の中にいたから

――本当のキモチはまだ手探りで。


「……さて」


最後だからと、愛でるように微笑みながら水をあげていると。


「真尋」


――やっと来た。