「……こんにちは」
「そんな敬遠しないで下さいよ。謝りにきたんですから」
ちょっぴり、鼻で笑うように明らかにバカにした伊沢登駕。とことんムカつくんですけど。
「や、大丈夫です。別にケガしたわけじゃないですし」
そっちがその気ならわたしはあまり関わらないようにしたい。と、思っていたのに。
「敬語じゃなくていいっすよ」
急に声のトーンが明るく変わった。わたしは階段の上にいる伊沢…違った、登駕に視線を向ける。
「わざとじゃないとはいえ、すんません」
なんだか拍子抜けしてしまった。首を振ると、彼は勢いよく駆けおりてきてわたしの方に近づいてくる。
「なんかよ…」
言い切らないうちに彼はわたしの眼前に立って笑う。


