わかっていたはずなのに。わかっていたはず、なのに。


その場を立ち去ってから、わたしはサッカー部の引退送別会に呼ばれていたけど、行かなかった。


行けるはず、なかった。


「え?来ないの?」

「ごめんね」


いいんだけど、と絢音ちゃんが曖昧に笑う。でもなんだか腑におちないみたいで。


「楽しんできてね、バイバイ」


無理に会話を切り上げた。右手をあげると、自然に振り返してくれた。新しくできた、友達。自分の好きな人が好きな、相手。


その事実が認めたくないほどに、頬を濡らした。