「それ、ドリンク?」 かごの中にはペットボトルや水筒が几帳面に並べられている。祐李らしいな。 「まーね、それより何をカリカリしてたの」 タオルで汗をぬぐいながら問いかける祐李。その言葉を聞くと、またわたしの中の怒りメーターが上昇してきた。 「思い出すだけでムカつくの」 トンと軽く地面を蹴ると祐李は珍しそうに苦笑した。 「そんなに怒るの珍しいね?誰よ」 自分でいうのもなんだけどわたしは割と平和主義だと思う。荒波は立てない主義。 めったに他人に怒ることはないし。初対面ならなおさらだ。