魔物を倒した日から数日。
寝付いているステファンを放置するわけにもいかないので、一行は村にとどまっている。
シュリは、久々に力を使って疲れたと言って引っ込んでいた。
庭では、暇をもてあました討伐隊員たちが模擬試合など行っている。
エヴァが聖剣のあるじとなったことを知ると、隊員たちは喝采をあげた。
「聖剣の勇者様!」
「エヴァ様は本物だ!」
大騒ぎする彼らを鎮めるためにアーサーが数回怒鳴り声をあげたくらいだ。
そんなことを思い出しながら、エヴァはぼんやりと庭を見つめていた。
夕暮れどきである。
「エヴァ様」
ふいに名前を呼ばれた。
「…従者さま」
アーサーがこちらへ向かってくる。
「ステファン様が目を覚まされた」
「そう、ですか」
エヴァの表情がわずかに明るくなった。
「…もう、お亡くなりになったが」
「…」
「エヴァ様に感謝していた。…己の心の弱さのせいで取り憑かれ、苦しんでいたのを救ってもらったと」
エヴァは答えない。
唇を噛んで、俯いた。
「…あなたのせいじゃない」
アーサーは声をやわらげた。
「魔物と同化しすぎていたせいだ。もともと彼のたましいは限界だった」
寝付いているステファンを放置するわけにもいかないので、一行は村にとどまっている。
シュリは、久々に力を使って疲れたと言って引っ込んでいた。
庭では、暇をもてあました討伐隊員たちが模擬試合など行っている。
エヴァが聖剣のあるじとなったことを知ると、隊員たちは喝采をあげた。
「聖剣の勇者様!」
「エヴァ様は本物だ!」
大騒ぎする彼らを鎮めるためにアーサーが数回怒鳴り声をあげたくらいだ。
そんなことを思い出しながら、エヴァはぼんやりと庭を見つめていた。
夕暮れどきである。
「エヴァ様」
ふいに名前を呼ばれた。
「…従者さま」
アーサーがこちらへ向かってくる。
「ステファン様が目を覚まされた」
「そう、ですか」
エヴァの表情がわずかに明るくなった。
「…もう、お亡くなりになったが」
「…」
「エヴァ様に感謝していた。…己の心の弱さのせいで取り憑かれ、苦しんでいたのを救ってもらったと」
エヴァは答えない。
唇を噛んで、俯いた。
「…あなたのせいじゃない」
アーサーは声をやわらげた。
「魔物と同化しすぎていたせいだ。もともと彼のたましいは限界だった」