城門を出て、街道を進む。


 それなりに進んだところで、エヴァは馬を止めた。

 …勢いこんで旅立ったはいいものの。

「…従者さま…」

 傍らのアーサーを呼ぶ。

「どうした」

「これからどこに行けばいいんですか?」

 ぺちっと頭をはたかれた。

「あなたが!討伐隊の!隊長なんだが!」

「だって知らないんですもの!」

「行き先は隊長が責任を持って決めるべきだろう」

「えーっ、じゃあこの人達みんな、どこに行くかも知らずに着いてきてるんですか!?」

「思い付きで突然旅立ったのは誰だ!」

 どこかテンポの合わないやり取りを、討伐隊の面々が面白そうに見ている。


 それに気づいたアーサーは深呼吸し、冷静を装った。

「…えー、とにかく。目的地は魔王がいそうな所、だ」

「いそうなってなんですか、わかりませんよう!」

 エヴァがごねる。

「とりあえず魔物の被害が多い所で情報収集したらどうだ」

「ああ、なるほどー」

 さすが従者さま!とエヴァが持ち上げるが、アーサーは嬉しくもなんともない。


「で、」

 と、エヴァが再び切り出した。

「魔物の被害が多い所ってどこですかー?」