キィ…


軋む音がなりやまない
薄暗いこの家
入った瞬間、いつもの酒が充満する
臭いが鼻をさす


それと共に、違う臭いも
あたしの鼻を刺激した


思わず鼻を塞いだ



「……なに…コレ」



暗い部屋には
母と男。
割れた酒のビン


飛び散る血痕


「…お……かぁさん?
どうし…「誰だ!」


あたしの存在を
知らない奴が
銃を持って奥の部屋から出てきた


「ひゃっ!
こ、殺さないで!!」


ズカズカとあたしに
近づき
腕を持ち上げ
小さな声で言ってきた


「…良かったな
殺しはしない、だが
この銃を持て。」


「なっ、何で」


「俺は犯人にされたく
ないんだよ~
さっさと持てよ!!」


怖い…


仕方なく、銃を右手に持った
そしてあたしの右手を男が掴み
無理やり引き金を引かされた


矛先は母だった


無理やりだったとは言え
実の母を撃った


この感覚、ヘドが出る。


奴は捨て台詞に
こう言った


「俺の指紋は完璧に消した
だかな…お前の指紋は
完璧に残っている。
しかも、お前は親に虐げられてきた
殺す動機はありえるな
それにだ、この銃はこの家のモノだ」



ズラズラとあたしが
犯人になる証拠を
言い並べる



そして家を出て行った



背中を冷たい汗が流れる




このままここに居たら
あたしは、捕まって
殺される。


この国は治安が悪いから
牢獄に入れられたら
警備が厳しすぎて
そのまま死んでいくと
聞いたことがある



「…いやっ…」


部屋は荒らされていたけど
必死に地図をさがして
家を飛び出した


あたしを見る
住人の目が気になる


違うっ!!あたしは…


人殺しなんかやってない!!



はめられたんだ!!





そんな目であたしを見るな!!



ただ歩いている人にも
そう思ってしまった
それだけあたしは
追い込まれていたんだ