「ハァッハァッ…サラ、様…」



「アナタを信じたかったわ
アナタはあたしの過去を知らない」


サラは奥の部屋から
王の死体を運びだし
自分がその部屋に入っていった



ガチャリと鍵をかけた音が
静まりかえる図書室に響く


私はすぐに彼に走り寄った


まだ微かに…
息はしている…
助かる命をほっておく
ことは出来ない


「…ウッ…貴女は…?」


今にも消えてしまいそうな声


私は静かにするよう
ジェスチャーした



傷口を軽く押さえていると



「……もう、良いのです…
貴女は…優しい方だ…ゲホッ
…ありがとぅ…―」



彼は命を引き取った



血まみれになった
自分の手に涙が落ちる



こんなことするなんて



ゆっくりと立ち上がった時に
短剣が滑り落ちた



カシャーン



―まってよ…


私は、この短剣で



自分の命と引き換えに
王子を殺そうとした…



サラは、金のためでも
それは自分のためって事になる


私も、私も同じじゃない


同じっ…―