砂浜に手をつき
収まらない涙を流すだけ流していた


いつの間に
こんな好きになっていたんだろう


…こんなに好きなのに



報われないの?



「リース!リース!」


聞き覚えのある
声がした


「あたしよルナよ!!」


ルナ!?


バッと立ち上がり
海を眺めた


すると
岩陰に誰かいるのが
わかった



海の中に入り
岩まで行く



そこには
海にも負けないほど青い、
長い髪をもったルナは
どこにも居なかった



居たのは…
肩よりも短くなった
髪をもつルナだった。



「えへ…髪、切っちゃった…
……魔女に頼んで……」


どうして!?と
言いかけた私にルナは


「まって、言いたいことは
分かるわ…どうして。かでしょ?」



頷く。



「あのね、リースが
人間になってから人魚たちが
騒ぎだしたの…
リースがいないって…


あたしは…リースが人間に
なったってこと知ってるけど
気になって無事かどうか…


もしかしたら
魔女に殺されてるかもって
だからあたし、魔女に
会いにいったの
リースを探すふりをして」



ルナは自分の髪を
手で触った



「行ったら一発でわかった
あそこが魔女の洞穴だって。
入り口まできたら
声がして、入っていった



魔女はあたしに
リースが無事と確認できる証拠を
見せる代償に
髪を奪うと言ってきた」



そんな…惨いこと…



「嫌だった。自慢だったからね
だけど奪ったときは
元の長さの半分だから
背中の半分ぐらいまでは髪が残ってた



それで不思議な鏡を
持たされて覗いたらリースが
うまくいってない事を知った



お願いしたわ…
何とかリースを救う方法は
ないかって。
そしたら……`ある'と言われたわ」



えっ?



「これを」



そう言って出したのは
短剣だった