人魚姫の嘘




「ちょっと……
何よ!どうして来るの!
来ないで!!
…わたしを…わたしをそんな瞳で見ないで!!」


あ…私今冷たい瞳をしてるんだ


「みんな!いつもわたしを
そんな瞳で見てっ…
それ以上来ないで!!
来るなら、本当に打つわよ!?」



でも私の歩みは止まらない
そして、笑ってやった。



「来ないで…!!!」



サラの声と同時に銃声が聞こえた



……あ……


サラの撃った弾は
私の左横腹をかすった


ポタッと血が滴り落ちる



私は、苦痛に顔を歪めて
右手で短剣を握り締めた
サラに気付かれないよう背中に隠しながら


「あはっ…貴女!
撃たれたのよ!?
さっさと逃げないから
わたしに近づくから」


もう一発サラは弾を込めた



私はよろつきながら
サラから少し離れて
2体の死体の近くに移動した


「動いたって無駄よ」



その言葉に耳を傾けなかった
そして握る短剣を振り上げて
私は死体を刺した


「なっ…!!!
貴女何を…」


サラの召し使いと
王様を刺した


「貴女…頭イッてるわね」



くるっ
サラに方向転換



「わたしもそうなるって?
ははっ…イカれてるわ」



その一瞬、サラに隙が出来た…―


ダッ!!
痛みが横腹に伝いながら
足を懸命に動かし



サラを…狙った



その刻はとても
…とてもゆっくりと
動いて見えて…