人魚姫の嘘




「…ふぅー…
式当日って本当に落ち着かない…」


苦笑いしながら
グラスを指で軽く叩いて
見つめていた


…きっとサラが居ない事に
動揺しているんだろう


《大丈夫ですよ
式はちゃんと行われて
貴方は幸せになります!
だから、そんなに
慌てなくても大丈夫》


「ははっ、ありがとう」


少し頬を赤らめる王子
でも…―


「…っ…あれ…?」


頭を軽く振って
まばたきを何度も行う
そんな行動に私は笑みがこぼれた


「…リースっ!
お前…何を」


笑っていたのがバレたか
王子は私を睨む
彼の目はボヤけていた


「……くっ…」


苦しそうな悔しそうな声を
小さく吐いて、王子はバタリと倒れた…―



……王子、貴方は幸せになります
だから…ごめんなさい。


ポケットに入っている
睡眠薬がやけに重たく感じた