コンコン
大きな大きな扉は
目の前に立つだけで凄い威圧感
「どうぞ」
返事が来たのを確認すると
ゆっくりドアノブを右手で回した
「リース!」
私の名を呼ぶのは
花婿の衣装に身を包む王子
近くには神父様
結婚式に向けて何か
話していたのだろうか…
「どうしたんだ?」
私は神父様の方をチラリと見る
すると、王子は外して下さいと
神父様に頼んだ
ペコッと会釈して私は
左手に持つグラスを小さな机に置き
メモを取りだして
書いてみせた
《忙しい時にごめんなさい
ちょっと王子と話したかったんです》
「いや、俺も緊張してたし
丁度良かったよ
そう言えばサラ見てない?」
《さあ…分からないです》
「そうかー…
もう時間も時間だしな
早く見つかると良いけど」
だいぶ…緊張してる様だ
《これ、良かったらどうぞ》
「ああ、ありがとう」
私はグラスに入った水を
王子に渡した…
コクン
飲んだ。


