人魚姫の嘘



まだ静けさを残す
城の中で私は、ある部屋に向かった


王子の部屋……の隣
サラの部屋の前にきた
コンッコンッ
返事はない


…まだ地下にいるのかしら


だとしたら、城の人が
サラを探し始めるのも時間の問題ね



誰にも気付かれないよう
忍びこんだ。


思ったのは、優しい部屋
白をメインにした家具が
あの、初めて会った時のサラを思わせた


…あの時は何も分からなかったな



なんて事を思いながら
置かれている、純白のドレスを見た


…あぁ…ウェディングドレス
素敵…



どうして?
こんな幸せなことって
ないじゃない…


王子と
結ばれるのなら私は
それ以上何も望まない


なのにサラは…
どうして?
今はソレを探しにきた



カサッ…



?風も無いのに
何かが本棚から滑り落ちた


無造作にちぎられた紙切れ
少しインクが滲んでいて
殴るように書かれた文字たち



私は、ハッとした。